ワン・イヤー・イン・ナミビア -365日のブログ-

2016年1月1日、人生初となる1年間まるまるナミビア暮らしが始まった。アフリカ大陸で過ごす1年間。青年海外協力隊としての活動や、今の自分を記録に残していくための1年間限定ブログ。

命はとても大切だ 人間が生きるための電池みたいだ

2016年8月12日、天気晴れ。

 

今日で一週間も終了。ここ最近一週間が驚くほど早く過ぎていく気がしています。毎日が充実しているからなのかもしれません。といってもやってることは個人的な勉強と料理とランニング。でも夢中になってみるとどれも楽しいものです。ということで金曜の本日は恒例のスタッフミーティングからスタートです。今日はあっさりと終了かと思ったら、ちゃんと自分の気持ちを代弁してくれる同僚がいました。

「先週のお金の件は一体どうなったの!?ちゃんと明確に説明して!!」

何でも疑うことからではなく信じるところからはじめたい - ワン・イヤー・イン・ナミビア -365日のブログ-

そうですよ。その通りですよ。この一週間きっと誰もが気になっていたはずです。そして何より驚くのが当の本人が平然とスタッフミーティングに参加していること!結果的に全額ではないもののまずは最低ラインのお金を返金し、残りは後日銀行に降ろしに行くということで話がついたそうでした。もうよくわからないです。それは他の同僚も同じ意見のようでいろいろと発言が飛び交っていました。すごいなぁと思うのは、当の本人がいたって言うことは言うという姿勢です。同僚だから遠慮するとか本音を隠すなんてことを彼らはしません。こういうところは少し見習いたいところです。

そしてミーティングの最後についにお金を着手したその彼が手を挙げたんです。が、やっぱりいいと言って話すのをやめてしまいました。ナミビア人だからと言ってメンタルが強いわけではなく、その顔は完全に今までの普段とは一変して強張っていました。これから一番辛いのは彼なんだろうなぁと思います。正直今週はずっと彼に対して残念な気持ちをもっていました。が、もう彼なりに解決した問題なので来週からはまたこっちから元気に声をかけてあげようと思います。お金は人を狂わせてしまうことを改めて痛感した今回の出来事でした。

 

しかし、正直今日はこのお金に関する問題はグレード6Aの担任からのお知らせによってどうでもよいものになってしまいました。

「一昨日、6Aの生徒が病気で亡くなりました。」

嘘でしょ。と思いたかったです。が、もうこういう話が当たり前に起こるのがナミビアであるということを認識している自分自身にも驚かされました。なんかいろんな意味でショックすぎて。こうやって淡々と事実を書いている自分にもなんか虚しくなってきてしまうところがあります。

 

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目立つ子ではありませんでした。自分が撮りためた写真の中で彼が笑って写ってる一枚をなんとか頑張って探し出しました。トリミングをしてこの大きさです。彼は一学期までは普通に学校に来ていました。が、二学期から突然姿を見なくなりました。課題もテストも全く受けていないので気になってある日子どもたちに聞いてみると

「彼は病気で学校に来ていない。」

と教えてくれました。病気はSickという表現をしますが、このSickという言葉は自分の中ではすごく軽いものをイメージしていて、きっとそのうち帰ってくるだろうという認識でいました。まさかこんなことになるなんてこれっぽっちも考えていませんでした。

ナミビアに来てから生徒の死に直面したのはこれが二度目です。一度目は自分がブンヤセカンダリースクールに来て間もない頃でした。名前も顔も知らない子でしたが、初めての出来事に衝撃を覚えたのを今でも覚えています。そして今回が二度目。つい三ヶ月ほど前まで自分が算数を教えていた子です。去年は理科も教えていました。名前のひらがなだって教えてあげた生徒です。1クラス60人もいる中で印象の薄い生徒ではありましたが、確かにそこにいたんです。それがふといなくなって、今日になって亡くなったという事実を知らされました。もちろん驚いて悲しい気持ちになったのは事実ですが、実感が湧かなすぎて理解できないのが正直なところでした。

そのあと改めて6Aの教室を覗きにいきました。...やっぱりいませんでした。二学期に入ってからいないのが当たり前になっていた彼。なので違和感はないんです。が、なんとも言えない複雑な気持ちになりました。

 

人の死に直面した時、人は自分の命についてイヤってほど考えさせられるんだなと。そして思うことは生きたい!ということ。自分の人生がいつどこでどう終わるかは未知ですが、とにかく生きたいという思いが募ります。

2016年5月19日に世界保健機関(WHO)が発表した世界保健統計2016によると、ナミビアの男女平均寿命は65.8歳、順位にすると世界136位でした。世界平均が71.4歳なので平均を下回っているのが現状です。その原因には病気もそうですが交通事故による死亡もナミビアでは多いです。そして気になる日本の男女平均寿命。ご存知でしょうか?83.7歳、日本は世界一の長寿国です。この事実を知ると、日本人で良かったと素直に思ってしまいます。が同時に自分の薄情さに自己嫌悪を覚えます。が、これはどうしようもない生への渇望なんだなと。

アフリカで二年間を過ごすということは、自分の死の可能性が日本にいた時より少なからず上がることを意味します。0.01%かもしれないし、0.1%かもしれません。それは防げるかもしれないし、防げないかもしれません。こんなことあんまり考えたくないんですが、これも人の死に直面したからこそ考えられることです。彼の死から自分は生きたい!無事に帰りたい!という自分の思いを再確認することができました。よく食べる、運動する、よく寝る、道路を渡る時は右左を確認するといった今自分にできることをしっかり取り組もうと改めて心に刻んだ1日でした。