ワン・イヤー・イン・ナミビア -365日のブログ-

2016年1月1日、人生初となる1年間まるまるナミビア暮らしが始まった。アフリカ大陸で過ごす1年間。青年海外協力隊としての活動や、今の自分を記録に残していくための1年間限定ブログ。

かあさんが夜なべをして手袋あんでくれる時代は終わってもやっぱりかあさんは偉大

2017年2月19日、天気くもり時々晴れたり雨降ったり。

 

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12時35分。その瞬間に外に出て写真を一枚撮りました。空の写真です。ジャスト一ヶ月後の同時刻、ナミビアを旅立ちます。以前自分の協力隊としての2年間をマラソンに例えて書いたことがありました。ついにラスト1kmの看板が見えた。今はそんな気持ちです。ラスト1kmとわかると痛かったはずの足が軽くなったのを今でも覚えています。ついに本当のラストスパートの時。今は2月ということでラスト1ヶ月と言っても残り28日しかないんです。28日後の空はどんなだろうか。その時自分はどんな気持ちで空を見上げるのだろうか。アフリカで過ごす最後の一ヶ月に突入しました。

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ここ一ヶ月の間に見違えるように大きくなったメイズ(トウモロコシ)やマハングーたち。連日降る雨と太陽の光でグングンと大きく育っています。一ヶ月あればこんなにも植物は成長できるということに驚くと共に、人間だって成長できるはずと信じたいところ!まだまだやりたいことはたくさんあります。アフリカをたくさん感じて、いっぱい吸収して、もっともっと自分を豊かにする最後の一ヶ月にしたいと思います。収穫が見れたらいいなぁ。

 

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さぁ本日は隣の村隊員が活動する任地ンタラへ。帰国までにやりたいことその⑥が実現しました!カバンゴ伝統の籠編み体験です!!こちらがナミビア北部で見られるバスケット。現地語では「シクンバ」と言います。綺麗な模様としっかりと編み込まれたきめ細やかさが印象的なこの籠づくりの様子を見学したいという願いがついに叶いました。

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行ってみると幹線道路沿いの木陰に座ってさっそくお母さんたちがシクンバ作りをしていました。日本で言うところの編み物のような感じでしょうか。材料は川沿いに生えている細い藁のような植物と、ノンバレと呼ばれる太くて丈夫な葉を使います。

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硬い葉を柔らかくするためにノンバレは一度お湯で煮て柔らかくしたものを乾燥させます。そして細い藁の束を芯材にしてそれをノンバレで巻きながら渦状に編んでいきます。

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時計回りで進んでいく作業。鍵で穴を開けてそこにノンバレを通して反対側から出してキュッとキツく縛る。そしたら隣にまた鍵で穴を開けてというように同じ工程を繰り返していきます。この時に高さを変えていけばバスケットに、平らに編んでいけばスーコーと呼ばれるコースターや鍋敷きのようになります。

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たまに2列一緒にノンバレで束ねる部分を作ると面白い模様ができあがり。お母さんたちは器用に花柄なんかも作ってしまいます。

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編み続けて大きくしていき、一番最後の列はゴザと呼ばれる編み方で解けたり壊れたりしないように縁取りをしっかりします。そしてこういうところで色違いのノンバレを使って編むことでこれまたステキな模様を作り出すお母さんたち。

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こんな感じで途中に違う色を編み込めば綺麗な線になります。

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この色違いのノンバレははじめにお湯で煮る際に彼が持っているこの植物と一緒に煮ることで作り出すことができるそうです。こういう自然の中にある知恵ってステキだなと。美しいものやキレイなものが好き!っていう感覚はきっと世界共通です。

 

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そしてお酒が飲みたい!という感覚も世界共通!!やはり同じ作業が延々と続く籠編み作業の合間にはお酒で喉を潤して会話に花を咲かせるのがポイントのようです。息抜きは大事!そこでお母さんたちが飲んでいるのがこちらのトラディショナルビールと呼ばれるお酒です。植物の実を材料にして大きなバケツで醸造されるこちらのお酒。

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なんとピッチャー一杯で2ドル50セント、日本円で20円程度という財布に優しすぎるお値段!!そして値段に対してアルコール度数のサービスがハンパない!!焼酎のような感じのこのお酒を村の人々は水のように飲んでしまうから驚きです。

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日曜の昼からみんなで外に集まってワイワイお酒を飲む。こんな生活を定年後はしてみたいなぁなんて!...あーーー!日本酒が飲みたいです!!

 

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お酒のパワーも加わりバスケット作りはラストスパート!真ん中のお母さんが使っているサイズのバスケットを作るのにおよそ2日かかるそうです。カバンゴの植物を使ってカバンゴの人々が全て手作業で作るカバンゴの伝統工芸!こういう自分たちにしか作れないものがあるってすごく憧れます。しかし日本と同じでこういう技術は時代の流れの中で少しずつ廃れていっているそうです。ブンヤの子どもたちに籠編みができるか聞いてみても「できる!」と言った子は少なかったです。そこでカバンゴの学校の中にはこの籠編みの技術を図工などの授業を通して子どもたちに指導しているところもあるそうです。ぜひとも後世につないでいって欲しいなと思います。

 

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本当は体験させてもらおうかなんて思っていたんですが、まぁお母さんたちが真剣だし自分が手を加えられるような感じでは無かったのでお母さんたちの作業をジーーーッと見させてもらいました。物覚えはいい方なので材料が揃えば自分も作れるかなぁなんて思ってみますが、実際にやったらお母さんたちみたいにはできないんだろうなということが容易に想像できます。そして今日何より印象的だったのはお母さんたちが楽しそうに籠編みをする姿でした。木陰に座っておしゃべりしながら作業をしている中でも目と手先だけは真剣なお母さんたち。こういうご近所付き合いにも憧れます。カバンゴの伝統工芸シクンバにはお母さんたちの愛と元気がギュッと詰まっていました!!