ワン・イヤー・イン・ナミビア -365日のブログ-

2016年1月1日、人生初となる1年間まるまるナミビア暮らしが始まった。アフリカ大陸で過ごす1年間。青年海外協力隊としての活動や、今の自分を記録に残していくための1年間限定ブログ。

人ごみに流されて変わってゆく私をあなたはときどき遠くでしかって

2016年10月31日、天気晴れ。

 

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本日夕方5時、最終試験科目である数学の試験を終えたグレード12の生徒たちが全試験日程の終了と共に一ヶ月以上に及んだキャンプ生活に幕を閉じました。...こういう風に書くとなんともサラーっとしてますが、要は...ブンヤセカンダリースクールを旅立っていったわけなんです。日本で言うところの卒業です。しかし全くもって卒業式らしさのかけらもなく学校をあとにしていく生徒たち。その手に抱えたたくさんの荷物を見ると、どこか旅行にでも行ってくるのかな?なんて気になってしまいますが、彼らは一ヶ月ぶりに自分たちの家に帰るわけです。そして彼らはもうブンヤセカンダリースクールに戻ってくることはないんです。こんなに実感のない別れは初めてかもしれません。

 

日本では幼稚園や保育園の卒園式から始まって小中高と各学校段階でそれぞれ設けられている卒業式。しかしナミビアには卒業式はありません。グレード7までしかないプライマリースクールでは卒業パーティーのようなものがある学校もあるそうですが、残念ながらブンヤセカンダリースクールはグレード12までのコンバインスクール(小中高一貫)なので無し。そしてジュニアセカンダリー(中学段階)の最高学年であるグレード10とシニアセカンダリー(高校段階)の最高学年であるグレード12にも「卒業式」と呼ばれるものは無いです。なぜなら日本のように全員が全員卒業できないからです。ここでいう卒業というのは試験に合格することを指します。試験にパスすれば晴れてグレード11、もしくは大学に進学することができるわけですがそれは全体の約半分程度。残りの半分の生徒たちは卒業できなかったということでそれぞれの教育課程を収めたという資格がもらえないまま社会に出ることになります。厳しい現実が待っているわけです。そしてこの試験の合否結果が出るのはなんと来年1月。なんとここから2ヶ月以上の間彼らは自分の人生を左右する試験結果をドキドキ待ちながら生活を送るのです。なので卒業式は無し。彼らが人生で初の卒業式を経験するのは大学です。もちろんグレード10や12でも卒業パーティーのようなものを行っている学校はあるかもしれませんが、ブンヤセカンダリースクールにはありません。

 

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グレード12の生徒たちはやはり最高学年ということでいろいろ教えてもらったり助けてもらったりしたことも少なくありません。正直関わった時間は短いわけですが、それでも一年間同じブンヤセカンダリースクールで時間を共に過ごした生徒たちです。そんな彼らがスタスタと学校をあとにしていく姿を見るとなんだか寂しい気持ちになりました。もちろん寂しくないわけがない彼ら。2年間、もしくは5年間を共にしてきた友だちと別れるわけです。中にはもう二度と会えない仲間もいるはずです。が、さよならはいつもと何も変わらない彼ら。

バイ!」

グレード12の旅立ちを見送るまだあと3日キャンプが残っているグレード10の生徒たちも彼らにかける言葉はバイ!のみでした。別れを惜しむ様子は全く無し。こんなにあっさりと別れてしまう事実が自分はすごく寂しいことのように思えたわけですが、それを彼らに伝えると笑って返されました。

「もちろん寂しいよ。でも友だちのことは忘れないから!」

 

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人生で何度も経験する別れ。寂しくないわけはなくやはり別れは辛いもの。彼らのバイ!に込められた様々な思いにあとになって気がつくとすごく胸がグッとなりました。テントや布団でごった返していた教室もすっかり閑散とした雰囲気に。今日帰ることのできない遠くに住む生徒たちはもう一晩をここで過ごして明日の朝に帰路につきます。ブンヤで過ごす最後の夜、いろいろきっと感慨深くなるんだろうなぁと。約一ヶ月に渡ったこのキャンプ。生徒たちを試験に集中させるためという目的に果たしているのかは正直定かではありません。しかし、仲間と同じ屋根の下で過ごす最後の一ヶ月はきっと彼らにとって忘れられない思い出になったのかなと思います。

 

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卒業式はありませんが、彼らは今日ここブンヤセカンダリースクールを旅立っていきました。彼らにかけたバイ!そして彼らからかけられたバイ!これがおそらく彼らとの最後の別れ。また会うことは無いけれど、いつまでも彼らのことを忘れないでいようと思います。卒業おめでとう!!元気でね!!