ワン・イヤー・イン・ナミビア -365日のブログ-

2016年1月1日、人生初となる1年間まるまるナミビア暮らしが始まった。アフリカ大陸で過ごす1年間。青年海外協力隊としての活動や、今の自分を記録に残していくための1年間限定ブログ。

一狩りいこうぜ!

2016年8月20日、天気晴れ時々雲がポツポツ。

 

はるばるトラックの荷台に乗って未舗装道路を走り続けてやって来たのはツンクエ(Tsumkwe)という小さな町です。ガソリンスタンドがあるので一応個人的には「町」というカウントですが、規模は非常に小さく特にこれと言って何かがある町では無いです。では一体何をしに遠路はるばる田舎の小さな町にやって来たのか。(場所に関しては明日のブログで説明します。)

 

このツンクエという町には、現在ナミビアと呼ばれる領土内に暮らしはじめた最初の住民として有名なサン族、別名ブッシュマンと呼ばれる人々が生活をしています。なんと人類の祖先であるという話もあったりなかったり。かつてはアフリカ南部やナミビア全土に点在していたサン族の先祖たちでしたが、その後各地からの移民たちや白人たちよって活動地域を侵され、次第にその範囲が狭まっていき最終的に現在のナミビア東部、カラハリ砂漠付近の地域に拠点を落ち着かせることとなりました。彼らの生活の基本は自給自足。男性は狩猟を、女性は採集をして自分たちに必要な食料を調達して生活をしています。現在はその生活形態も文明の発展により多少は変わったようですが、彼らの基本は未だに狩猟採集だそうです。政府が彼らサン族の本来の生活を保護するための取り組みをするなど、ナミビアにとって貴重な生きた歴史を語る彼らを訪ねるため、今回はこのツンクエの町にやって来ました!

 

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午前8時、今回お世話になっているロッジ(詳しくは明日ご紹介)が行っているアクティビティーに申し込んでサン族を訪ねる1日ツアーに出発しました。内地に向かって進むことおよそ20分。

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ついにサン族が生活をするビレッジに到着しました!!嬉しいのと同時にちょっと緊張。ナミビアの他の民族とは明らかに違う顔つきと、ナミビアで習得が最も困難であると言われているクリックサウンド(吃音)をもった彼らの言語(自分の聞こえた感じだと「ジュックォアンシー語」)のやり取りにたじろぎ気味でした。が、「お前にサン族の名前をやる!」と言ってくれた長の計らいで少し気が楽に。ガオ(英語でOwnerを意味するらしい)という名前をくれました。まぁおそらく来た人みんなに行っている形式的なものだと思いますが、それでも嬉しいものです。さぁ今日は彼らの1日にお供させていただきます!

 

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まずはサン族の家族共々車に乗り込んでウォーターポイントや彼らの活動ポイントに移動します。その昔は車なんか無かったわけなので歩いて移動していたサン族。彼らは水辺を求めて転々と移動を繰り返していた遊牧民でしたが、時代の変化によって水辺に移動する必要性が無くなったことで彼らも一ヶ所に定住するようになったそうです。約1時間のドライブ。自分は助手席にいて、後ろのサファリカー的なシート部分にはサン族の一家が座っているというのはなんとも面白い光景でした。

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途中に見えたのは干上がった水辺。雨季はここが水でいっぱいになるそうです。

 

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そしてウォーターポイントに到着。ここの水は地下から風車で引いているので一年中あるそう。さっそく彼らが水辺付近を歩いていると

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これはワイルドビーストの足跡だ!

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これは小さなゾウの足跡だ!というように動物のいた形跡を察知する彼ら。

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動物の生態系の理解や行動予測などにおいてサン族は非常に優れた才能の持ち主!その知識と狩りの技術を組み合わせることで狩猟生活を営んでいたようです。あたりに転がっている糞はゾウのものらしいです。今日は動物たちには出会えませんでしたが、彼らから教えてもらう確かな存在の証拠の数々によって動物たちがなんともリアルなものとして感じられました。

 

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彼らにとって大事なのが水です。乾燥地帯で生活をしていた彼らはいかに水を確保するかということにおいての知識や経験も非常に豊富です。今日はその内の1つを見せてくれました。ある小さな植物を見つけると地面を掘り始めた長。何が始まったんだ!?とその様子をじっと見ていました。

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そっから掘り続けることおよそ30分。かなりハードな作業らしく途中で若い彼と交代もして、穴が腕がまるまる入ってしまうくらいの深さになった頃ようやく地面から大きな根っこを掘り出すことができました。目印だった植物の根っこを掘り起こしていたんです。

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ウォータールーツという植物の根っこ。一口食べさせてもらうと、粘り気の無い山芋のような感じで、口中に水分が広がりました。狩りに出た男性たちはのどが渇くとこのウォータールーツを掘り起こして水を補給して次の狩りに備えていたそうです。今日はその後彼らはもう1つウォータールーツを掘り出しました。家に持って帰って後日食べるとのことでした。

 

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そのあとは彼らの家に戻ってきて彼らの日常をのぞかせてもらいました。木陰に敷物を広げてゴロゴロする女性たち。子どもたちは自由に遊んでます。そしてサン族の皆さんはとにかくタバコが好きなようで一本の巻きタバコに火をつけるとみんなでそれをシェアしていました。飾ることの無い彼らの日常をそのまんま見せてもらえるのはなかなか面白い体験です。

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休憩が終わるといろいろと作業が始まりました。まずこちらは装飾品作りに取り組む様子です。サン族も時代の変化と共に経済活動に取り組む必要性も生じてきたようです。

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この白いビーズのようなものはダチョウの卵の殻なんです。サン族はダチョウの卵を水を貯めるための容器として重宝していました。今はそれを材料にしてネックレスやブレスレットなどを作っています。これは主に女性の仕事のようです。

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男性はこちら。狩猟用の道具の手入れです。狩猟採集を基本とするサン族は、野生動物の移動と共に自分たちも移動をしなくてはなりませんでした。その際には必要最低限の道具のみを持ち運ぶのが彼らのやり方。その中で絶対に手放さなかったのが狩りするための道具です。長は今、木から矢じりを削り出しているところ。

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できあがった矢じりを棒の先端に付けます。まっすぐ飛ぶように細かい微調整。その見事な手作業に見とれてしまいました。

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こちらは火おこし棒です。これも移動の際には欠かさず持ち運んだもの。日本でよく見るタイプのものは頑丈で反動を使って楽に火種を作ることができますが、あれは重い。彼らはこの2本の木で火種を作りいとも簡単に火を起こして見せてくれました。そして何よりこの2本の木はとっても軽いんです。遊牧民のサン族ならではの火おこし道具です。

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着火の瞬間を写真に撮れなかったのが残念でしたがこのあと見事に火がつきました。

 

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よし行くぞ!と言って日も少し傾きかけた頃にあたりの散策に出かけました。360度見渡す限りの大自然の中をサン族と歩くというのは貴重な体験です。

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植物に関する知識も持つ彼ら。その薬効や使用方法など、歩いていると様々な植物の紹介を彼らがしてくれました。しかし彼らの言葉は全くもって理解できないのでそこはガイドさんが通訳してくれました。それでも一生懸命伝えてくれるのでついつい頷きながら聞いてしまいました。そして、ジェスチャーは世界共通語!あっ、この植物はおそらく喉の痛みに効くんだな!?この植物は怪我の手当てに使うんだな!?というのがなんとなくわかりました。言葉はわからなくても感じることができるのがとても嬉しい瞬間でした。

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紹介してくれた植物の中でも特に面白かったのがこちら!一体何の時に使う植物だと思いますか?使用方法は簡単で
①葉を摘んで噛む。②額を二、三回手でなでなで③そのまま二、三分しゃがんで瞑想
といった感じです。そして二、三分が経過すると...!!なんと、自分がこれから進むべき道がわかるんです!!そう、こちらは道に迷った時に助けてくれる植物です。サン族の彼らが言うんだから本物ですよ。

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それにしてもすごいところにいるなと何度も思わせるこの壮大な風景。

 

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最後は狩りの練習をさせてくれることに!彼らが実際に使っている弓矢を使って的を射させてもらいました。まずは若頭のお手本。カッコイイしまぁ正確に的を射るその技術がすごい。

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構えを教えてもらい、いざ自分も挑戦!20回くらいやって5回くらいは的に当たったのでまぁ個人的にはサン族見習いレベルかななんて!そして当たる度に子どもたちが拍手してくれるんです!!それが嬉しいこと嬉しいこと。

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正直アクティビティーに参加するので、サン族の子どもたちも大人も客慣れしているのかなぁなんて思っていたんですが、彼らのスタイルは我客に関せず。自分がいたからといって特別何をするわけでもなく自分たちのやること、したいことをするといった感じでした。逆にそれがリアルですごくよかったです。それでも1日一緒にいるともう帰る頃になってようやく少し馴染むことができたかなと感じることができました。子どもたちが自分の弓矢に拍手を送ってくれた瞬間が忘れられません。

 

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最後は集合写真を撮ってもらいました。こういう「現地の人と一緒に写真撮りました!」的なやつは個人的にもすごくレアな一枚です。ナミビア最初の住民サン族の暮らしを感じることのできた1日。ツンクエまでの道のりは大変でしたが、来て良かった!と心から思えた1日でした。

 

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そして最後はお決まりの!といきたいところでしたが、小さな小さな町ツンクエにはウェルカムボードはありませんでした。が、道路標識で一応記念撮影です。達成感しかありません!

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