ワン・イヤー・イン・ナミビア -365日のブログ-

2016年1月1日、人生初となる1年間まるまるナミビア暮らしが始まった。アフリカ大陸で過ごす1年間。青年海外協力隊としての活動や、今の自分を記録に残していくための1年間限定ブログ。

小さな村の小さなパン屋で作られるパンがくれる小さな幸せ

2016年2月21日、天気晴れ。

いやー、寝た。午前中の洗濯を終えて、午後から指導案のストックを書き溜めようかなんて思ってたんですが、結局寝ることを選択。久々にグダッた日曜日だなと。まぁたまにはね。それにしても1日が長いもんで、寝て起きた夕方5時でもまだ全然外は明るいから、なーんかリズムが狂うというか不思議な感覚ですね。
2月まるまる任地生活も残すところ1週間。そろそろどっか出かけたくてウズウズしてます。日本だったら電車でちょっと買い物へ、食事へなんてできるんですが、ここではその「ちょっと」が軽く100km超えてきますからね。来週末は予定ありなので、それを目指して2月ラスト1週間を乗り切りたいなと思います。

本日はブンヤが世界に誇るあるものを紹介したいと思います。
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ネットで「Namibia」「Bunya」で検索すると、なんとWikipediaでヒットするんですね。この事実を知った時は本当にビックリしました。こんなナミビアの道路マップにも載ってないような小さな村のことをWikipediaが載せている...なぜだ?って疑問も当然ありますがね。で、面白いのがこの紹介でブンヤは全て語り尽くされてるかもしれないということ。これ以上の情報は無いかもなと。なので、この英文を読んでもらえば、みなさんもブンヤの95%は理解したと思って間違い無いかと思います。

 で、今日紹介するのはその最後の一文に書かれたこちら「A bakery supplies bread; 」。初めてこの文を読んだ時自分の中で一番引っかかった情報でした。なぜWikipediaでわざわざこの情報?「パン屋がパンを作っています」まぁそりゃパン屋がパンを作るのは当たり前だろというところで1つ引っかかるんですが、わざわざWikipediaで村を紹介する時にあえてパン屋さんをフューチャーしている。不思議だなーと思ってたのが任地に着任する前のことでした。

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任地ブンヤに来てから数週間経ったある週末、やっと見つけたブンヤのベーカリー。(まぁすぐに見つかるんですが来たばっかりの頃はとにかく自分の生活に必死だったので周りが見えていなかったんだろうなと思います。)その名も「Sihetekera Bakery」(シヘテケラベーカリー)です。あのWikipediaで紹介されてた店に間違いない!と思うと、なんだかすごくワクワクしてたのを覚えてます。

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そして店に入った瞬間に全身で感じる焼きたてのパン香り。うおーー!それまでは、週末にルンドゥで買ってきたバッサバッサのパンしか食べたことがなく、ナミビアのパンはこんなもんかと思ってましたが、ここのは絶対に違うともう本能的に理解しましたね。そして、お値段を聞くと一斤10ND...日本円で100円しません。そして、初めてブンヤで買ったパンを家に着いてさっそく実食!する前に、もう全然違う。触った瞬間のフワフワ感が半端ない。そしてまだほのかに温かい。いや、これヤバイでしょと思って初めて食べたブンヤのパン。...うんめぇーーー!感動!!もうこんなにおいしいパンがこの世にあったの?ってくらいの感動です。ナミビアに来て食の感覚が変わったのかもしれませんが、間違いなくここのパンはおいしい!もうこの日以来、パンはブンヤ以外では買えません。朝食&昼食トースト生活の自分にとっては、ここブンヤのパンに出会えたことは何よりの幸せです。未だにパンを買って帰ってくる家路に心がときめき、できたてを食べられる最初の一口の後は必ず1人でうんめぇーーー!って叫んでます。

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あんまりにもおいしいんで「作ってるところ見せてもらってもいいですか?」って聞いてみたら「いつでもいいよ!」って言ってもらえて、昨年の10月末に実際にパンができるまでを見学させてもらいました。朝8時から始まるパン作り。作ってるのはホワイトとブラウン(小麦の種類が違う)の2種類の食パンです。いきなり驚いたのは天秤を使って分量をしっかり計って作ってることでした。

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まぁ失礼かもしれませんが、ナミビアですから適当に作ってるのかなーなんて偏見を持っていた自分が恥ずかしいです。決まった分量が頭にバッチリ入ってるようで、迷いなくパン作りがすすんでいました。

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シヘテケラベーカリーの「Sihetekera」は、現地語で挑戦する、試みるといった意味があるそうです。シヘテケラベーカリーが開店したのは1999年。ブンヤの村の人々にパンを食べさせてあげたい(村の人がルンドゥの街に出られるのは月1くらいのことなので、パンは普通には手に入らないものだったそうです)、そして村の女性の力を村起こしに役立てたいという思いからスタートしたそうです。

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そしてなんとはじめはパンを焼くためのオーブンもなく、薪で火を起こしてパンを焼いていたそうです。それから17年、今では女性5人のみで経営しているこのシヘテケラベーカリー。

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この日、自分にパン作りの紹介をしてくれたのはエベリネさん(56)です。パンを作り続けて17年。彼女たちがいるからこそ、ブンヤの村にはパンという1つの名物が生まれ、今も続いているわけです。Wikipediaのたった一文に込められた彼女たちの職人としての誇り。最後に「やりがいはなんですか?」と聞いてみました。「お金を稼ぐこと」だそうです。でも、1つ10NDのパン。そこには、村のみんなに美味しいパンを食べて欲しいっていう思いもこもってるんじゃないかなと感じました。

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最近はシヘテケラベーカリーの皆さんともますます仲良くなって、毎回パンを買いに行くのが楽しみの1つです。先日は壊れたオーブンを修理したいから、写真を撮ってくれなんていう頼みごともされました。大好きなパンのためですからもちろんお手伝い。おいしいパンのひみつや、そこに込められた思いを知り、それ以来ますます好きになったこのブンヤ、シヘテケラベーカリーのパン。
ここはブンヤの自慢のパン屋です。