タンザニアにあるアフリカ大陸の最高峰キリマンジャロ山のスケールは登ってみないとわからない
2016年12月21日、天気極寒の突風&アフリカ初の雪からの晴れ。
前日23時25分にセットしていたアラームが鳴りますが、そもそも起きていました。吹き荒れる突風の騒音によりこの登山始まって以来の熟睡できない夜を過ごして迎えるキリマンジャロ登山の大一番です。まぁまだこの時点では夜なんですがね。
靴下2枚履き、ダウンジャケットは2枚重ね着で下はウォームズボン含めて計4枚!完全防寒装備でいざ日付変わって本日0時、アフリカ大陸で一番高いテッペンを目指すキリマンジャロ山ピークアタックを開始しました!
風は相変わらず強いままですが、見上げればキレイな星空が。最初の休憩の際に急いで三脚をセットして撮影したのがこの一枚。この時はまだ全く異常もなく、着込みすぎたせいで逆に暑いと言うくらいの順調な序盤だったわけでした。
異変を感じたのはおそらく5000mを超えてしばらく経ったぐらいのあたりでしたね。荷物が重い。肩と首にのしかかる重みが辛いと感じるようになったんです。写真撮影用の三脚に水2L、寒さで壊れないようにカメラは首からぶら下げてダウンの中にしまっていたんですが...重い。そして重いが次第に苦しいに。モノを持ってきすぎたのか??モヤモヤしたままそれでも真っ暗な中をヘッドライトの明かりを頼りにとにかく上へ上へと登っていきました。
バックパックのヒモの長さが悪いのかもしれないと思い調節し直してみるも一向に変わらない違和感。それに呼応するように息も荒くなり...。終いにはゼーハーゼーハー。いや、この「ゼーハー」という表現は正しいオノマトペじゃありません。正確には「ヒーホー」だというのが持論です。ヒーホーヒーホー。...この時ようやく自分の中で起こっている事態を理解しましたね。酸素が足りないんです。身体中が酸素を欲していてとにかくありったけの酸素をカラダに取り入れるべくヒーホーヒーホー。音に出して吸いたい酸素ってこういうことだなと。あまりに自分がヒーホーするのでガイドの2人も気遣ってくれて、勇気づけてくれて。
「You can do it !」
昨日寝る前にガイドのアイザックさんが「苦しかったらこの言葉を思い出せ!」と言って教えてくれた魔法の言葉。オレならできる!オレならできる!!見えないゴールを求めて必死に息を吸って気力で真っ暗な頂を目指して進んでいきました。
東の地平線が薄っすらと明るくなってきた頃。あと少し、あと少し!と重たい足を一歩一歩前に出してついに視界に入った中継地点、ステラポイントの看板!!!!キターーーーーーーー!!!!!!!!まだゴールではなく通過点だったわけですがここに辿り着いたことが嬉しすぎて嬉しすぎて。この瞬間の感動がハンパなかったです。もうここがゴールでいいんじゃないのと思った自分がいましたが、ここまで来たからにはもう行くしかない!今の自分ならいける!!ステラポイントに着いたことでまた力が湧いてきました。またここからは道のりもラクになって時間も45分程度だと聞いていたのでなおさらヤル気アップ!最後の力を振り絞っていざ頂上へ!!
と気合を入れてスタートしたんですが、気合だけじゃどうにもならなかった。この時すでに標高は5700mを超えていたわけで、その中で前へ前へと進んで行かなくてはならないわけでした。もうほぼ平坦な道でさえ歩くのが苦しい。こんな経験は人生初でした。自分にも限界があるという当たり前の事実に気付かされたわけです。そして追い討ちをかけるように風といっしょに吹き付ける雪!苦しくて、寒くて、果てしなくて...ただただ辛いラスト1時間でした。そして。
2016年12月21日午前6時50分、キリマンジャロ山ウルフピーク(5895m)登頂。
その時がやってきました。もうものすっごく嬉しくて、達成感ハンパなくて、溢れ出す思いを叫びたかったんですが、寒い。とにかく寒い。髪の毛は凍りペットボトルの水さえもシャリシャリとした食感になる寒さです。そして苦しい。サミーーー!と叫びながら登頂の写真を撮ってその後は即下山。あとになって気が付いたことが一つ。キリマンジャロ山の頂上の石を拾ってお土産にしようと思っていたんですが、完全に忘れていました。そんな余裕はこれっぽっちもなかったこの時の自分でした。
登りに7時間も要したピークアタックでしたが、戻りはわずか2時間。暗くてよくわからなかった道がはっきりと見えると、自分がどれだけすごい道を登っていたのかという事実に驚かされました。キャンプに戻った頃にはもうクタクタ。一時間の休憩のあと遅めの朝食を食べて...この時ようやく
キリマンジャロ山のテッペンに辿り着いたんだ
という実感がジワジワと湧いてきましたね。やったんだと。そして今日は休む間も無くこのあとさらに下山をします!この時まだお昼の11時。
しかし、なんと4000m代のキャンプに戻ってきたのに息がまだ苦しい。鼓動が早い。登頂の影響がカラダに完全に残っていました。やばい、こんなんで下山できるのか!?と心配になりましたがガイド曰く
早く下山だ!!
とのことでした。下山すれば治ると。そしてそれは本当にその通りでした。その後15分も下ると何事もなかったかのように完全復活!!山って不思議だなぁと身をもって実感しました。
そして下って下って降り続けて3時間。標高は3100mまで下がりました。もう富士山圏内。朝から登って下って12時間!!とんでもなく疲れたわけでもうカラダもヘトヘトでした。が、自分の中にフツフツと湧き上がるキリマンジャロ山登頂の達成感が嬉しくて。心身ともに疲労と充実感でいっぱいのキリマンジャロ山で過ごす最後の夜でした。